翌日。俺たちは昨日より早く教室についた。
昨日の集団が何かしてくるかと見込んでいたが、不思議と何も無かった。
それどころか、教室に入っても姿が見えない。
真紀の方を見ると、真紀も同じ考えだったようで二人同時に息をついた。
まだ席は決まっていないので、とりあえず後ろのほうに並んで座る。
時間的に早いこともあり、教室の席はまだ半分も埋まっていない。
「みんな来てないね」
「そりゃこの時間だからな。普通はまだ来ないだろ」
「ねえ、しつこいかもだけど」
「体なら大丈夫だって。いつもより早起きできたくらいだぞ」
まあ、少しふらつきが残ってるんだけどな。またあの夢見たし。
「そんな冷たくしなくても・・・」
こうして、今日三回目くらいのやり取りが終わった。
もうなだめるのも面倒になってきたな・・・。
ん、あの声はそうかな。これで真紀の機嫌も直ると良いんだけど。
「真紀、みんな来たみたいたぞ?」
「え?あ、ほんとだ」
真紀も声に気づいたらしく、俺を無視して教室から出て行った。
真紀のように行動的でない俺はそのまま待機。
すぐに合流できたらしく、四人の中に真紀の声が混じる。
一人だけ声が聞こえないけど、きっと居るだろうと言うことで四人と判断したんだけど。
女って変わり身早いよなぁ、としみじみ感じる。
昨日あんなに怯えてたのに一回話しただけでこれだ。
それにしても拓って奴。扱いにくそうだったな・・・。
ああいう奴は仲良くなるまでが大変なんだよ。
と、考えていたらいつの間にか周りに五人がいた。
「翔くん、みんな来たよ」
「おはよ、翔」
四人の中で口火を切ったのは昨日と同じで、確か細木、とか言ってたな。
多分物怖じしない性格なんだろうな。いきなり呼び捨てで来たし。
「いきなりなんだけどさ、ちょっと外で話してもいいかな?」
「いいけど。ここじゃまずいのか?」
「少しね。じゃ、行こうか」
他の四人に話は付けてあったらしく、驚いた顔はしていない。
俺はここではできない話とやらをするためにみんなに付いていった。
さて、話ってなんだろうな。