「で、教室じゃ出来ない話って?」

話がしたいと言われて廊下に連れ出され、俺たちは教室からかなり離れた場所にいる。

俺の隣に真紀、後の四人とは向かい合う形で話は始まった。

「なんだ、見当ついてなかったのか」

「まったく。昨日会ったばかりで見当なんかつかない」

「あら、私たちの評判聞いてなかったのかしら」

この二人の評判ねえ。どこかで聞いた気がするんだけどな・・・。

真紀に助けを求めようと目をやるが、って。

「ああ、ずいぶんと真紀が怖がっ」

「翔くん?」

睨まれてしまった。

「ま、大体その推測は当たってるわね」

「で、そんな二人が用ってのは?」

呼び出しかたから考えるに、あまり良くないことだろう。

そもそも出会い方からして特殊だし。

「おいおい身構えるなって。悪い話じゃないんだし」

「その言い方だと誤解されるわよ?」

誤解?この状況でどう誤解すればいいんだ。

とりあえず真紀だけは逃がさないとな。

いつでも庇えるように半歩ずれようとすると、

「あのね、私たち仲良くしませんかって話」

え?

「私たち二人のことはクラス全員が知ってるし。それに」

「初日からあれだからな。今この六人は立場が悪い」

あやうくこけるところだった。

それにしても急な話だ。そんな評判聞いてないぞ?

「翔くんずっと気絶してたから・・・」

「真紀は知ってたのか?」

「うん。ちなみに先生からの評判も知ってる」

「じゃあ知らないのは俺だけか?」

五人ともうなずいた。ちくしょう。

「孤立してるよりはみんなで仲良くしてるほうが都合良いよねって話なんだけど」

「ちなみに、話がついてないのは翔さんだけですよ?」

「そこまで言うなら・・・。真紀が懐いてるから安心だしな」

「翔くんひどいよ・・・・」

「じゃ、話ついたとこで教室戻るぞ。そろそろ時間だ」



そうして、俺たちの奇妙な関係は唐突に始まった。