7.入りびたり
「お前さあ、いつまここにいるつもりよ?」
「んー、あとちょっとだけ」
そういって、もう2週間がたとうとしている。
この部屋の主---景---はパソコンの前でレポートの仕上げをしているのだが。
その後ろではただ漫画本を読むだけの居候が堂々と寝そべっている。
居候といっても景の彼女であるので、ただ泊まりに来ているというのもおかしくない。
食費は自分で出すし、光熱費もある程度は払うといっているので、渋々OKしたのだ。
とはいえ流石に2週間は居すぎだろうと思われるが、景は彼女に強く当たれないのでずっとこの調子だ。
まあ、多少の下心はあっただろうが。
なにせ、言えば結構応じてくれる珍しい彼女である。
「・・・凛、終わったら買い物行くから付き合え」
「わかったー」
なんか女らしくないな、と景は思う。
今の凛の姿は、ジャージ上下という格好である。
どう見ても彼氏の部屋に来る格好ではない。
つきあい始めもなんだかさっぱりした物で、
「ちょっと景。わたしと付き合え」
な感じだったので、まだ恋人らしい雰囲気にはあまりならない。
それからも実にあっさりした物で、景はことあるごとに緊張を無駄にされている。
実際、景は今でもとまどっている。
小学校のころに知り合って、大学で再会。
小学校の頃から変わらない性格に安心したところでいきなりに告白。
そして、今はそれから三ヶ月後である。
景はレポートの直しを終え、彼女を連れて買い物に向かった。
凛は慣れた手つきで品物を選び、質の良い物だけかごに入れていく。
勿論かごは景が持っているのだが。
十分ほどで買い物を終えて、二人は部屋に戻ってきた。
買ってきた物は景が冷蔵庫にしまい、その間凛は寝る準備を始める。
そして景が支度を終える頃、凛は布団から出てくる。
夕食を終えた後、景は凛に対して初めて強く出た。
「なあ、どうしてここに入り浸ってるんだ?」
真面目に答えてくれ、という景の目から下を背けさもめんどくさそうに、
「聞きたい?」
景は凛の顔に何かを見つけたのか、得意げな顔をして、
「もちろん」
凛は顔をそのままに、
「景はずるい」
「は?」
「だって、景はずーっと私の頭の中に入り浸ってる。少しくらい出て行っても良いのに」
それを聞いた瞬間、景の顔が赤くなっていく。
「えーと」
「だから、私もここに来た。景が私の中に居る時間と同じだけここにいてやろうと思って」
景はさらに顔を背ける凛を抱きしめ、顔を自分の方に向かせる。
景が何か言うよりも先に、凛は景の方を向いて、
少しだけ、照れの残っている笑いかたで、
「だから、これでおあいこだ」