09.愚問





ここはとある時代とある建物のとある部屋

そこに居るのは二人の男

幼少の頃からの関係は主従へと

どちらが上でもない関係は今や信頼ではなく形式の上下へと

一人は気高く一人は刃に

心と牙は常に一つ

彼らは獣と呼ばれた



時代の波は二人を流す

獣は波に皮をはがれた

仕える者主を守らんと逃げ込むも窮地

その檻の外には狂気が飛び交う

閉ざされた世界で互いに響きあわす音



---守る


---何を


---主を


---いらぬ


---何故


---愚問

幼き時二人は二人

上下は皮より来るもの

主、友に其れを説く


---今皮は無き故に牙もなし故に


---牙と心は


---友へと



世界から音が消え世界が開く

友は狂気に飲まれ消えた